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中心静脈栄養 [医療]

今の組織に来るまで、自分はCVを入れたまま退院させたことは一度もなかった。というより、そういう概念自体がなかった。なので嚥下ができなくなった人はそれを評価し、出来る限りのリハビリをしてそれでも食べられない時は、どうするのか家族と何度も話し合ったものだった。

ずっと以前は経鼻経管を入れたまま返すということもあったようだが、2000年代に入ってからは胃瘻が簡単に作れるようになり、以降していった。しかしこれ以上の幸せがないと胃瘻を抜くこともできず、ただ、栄養をいれ、生かされている人をみて反省した我々は出来る限り胃瘻を作らない方向に変わっていった。それが2010年代のころである。以前胃瘻を作らないような説明をよくしていたが、この頃からは、胃瘻は嫌という人がほとんどになっていた。テレビの影響もあり、施設が胃瘻をみる人の枠を(制度として)作らされたということも関係があると思う。

食べることが出来なくなった人の残りの人生をどう考えるか、その人の家族がどう感じるのかを考える。それは救急病院の仕事ではないと思う。ではその他の病院はそういうことをどこまで真剣に取り組んでいるのだろうか?少なくとも救急病院に搬送されてくる人達がそういう相談を受けていないのは事実のようである。

日本の医療が成熟するとは先進医療とやらがドンドン進むことだけではないと思う。いかに最期を迎えるか、コロナ時代に面会ができなくなりより問題を複雑に深刻にさせているが、そこになかなか足を踏み入れられていないようである。

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