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意識障害そこはかとなく [臨床]

 

意識障害で来院したけれど、原因がわかりません。に対して、まず意識障害とは?

自分達が意識と呼んでいるものは実はかなり大雑把なものであることを認識しておくべきである。意識障害だからGCSとJCSで評価すればいいという単純なものでもない。

人間はまず感覚すなわち(みる聞く触られる)が機能しているかが問題となるが、JCSでいう300になった場合はこれが機能しているかoutputが欠落しているかどちらかわからないということである。

また聴覚が低下しているヒトであれば10と20で沢内ということである。また感覚を認知し、それを認識するところすなわち認知力と呼ばれているところに問題があるかどうかは大切なところである。実際は覚醒度がはっきりしていれば認知力に問題があってもこれは意識障害とはよんでおらず、認知症もしくは不穏もしくはせん妄ということになる。このあたりの区別はむずかしく大抵認知症のあるひとが不穏になったとして、リスパダールなどで対応される。

しかし、定義的にはフラシスは急性発症で変動があり、注意障害があり意識レベルの混乱または混乱した思考のいずれかを特徴とする意識障害とある。これまた複雑なようで実は大雑把な定義ということになるが、

おもしろいことにエッセンシャルでは意識障害の欄にせん妄の言葉がでてこない。

誰もが、このあたりを曖昧にしたままでいるような気がする。

そのため、せん妄には致死的な疾患が隠れている。という教えがあるにもかかわらず、入院直後などは特に不穏として対症的に対応されしかもそのほとんどが上手くいっているようだ。

前々回のCPCでは入院、そして手術後しばらくしてから不穏になったひとが肺塞栓であったことがあったが、こういうときはいわゆる”違和感”をもって対応すべきなのかもしれない。

ところで意識障害というからには呪文のようにAIUEOTIPSと唱えながら鑑別していくことが多いが、杓子定規に鑑別するのではなく、病歴を周囲の人からとれるのなら出来る限りとることでカミソリ的に診断に行き着くこともあるし、それさえないときは外傷がないかとか、服装、臭い、瞳孔などからヒントをつかむしかないかもしれない。もちろん既往歴は参考になるだろう。

原因がわかりません。と言われたときはたいていCBC 電解質 Bun Cre 血糖、頭部CT 心電図くらいまではすませていて特に問題がなかったということであろうが、たとえば、アシドーシスはなかったのか?(痙攣のあとアシドーシスになったり、腎不全だったり、ショックだったり)アンモニアを考慮するような病歴はあるだろうか?とか、アルコールを初めとする投薬などはどうであろうか?までは初心者がぬけている部分であろう。

もうすこしレベルがあがるとすれば、だれも見ていなかったはじめての痙攣とか。敗血症とか血糖がほぼ正常のDKAとかだろうか?

また落とせないのが髄膜脳炎だろう。ウェルニッケもそうだが感染は見落とすわけにはいかない。脳卒中でも範囲が広ければ意識障害で来院するということそこまでだと神経学的所見がとれないことも注意。

肺の疾患では肺塞栓やCO2ナルコーシスも大切。

火事の時に限らずCO中毒も考えるべきだろう。

しかし高齢のUTIがありそうな尿の所見で意識障害があるとき、LPをするかどうかは悩ましいところである。すると決めた後で入らなかったときどうするかもまた悩ましい。

慢性硬膜下血腫もわすれてはならないがまずCTはとるだろう。

SAHも意識障害で来院する。頭痛というワードは出てこないこともある。

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