ドライブマイカー [感想]
実はすでにアカデミー賞ノミネート前にドライブマイカーを観ていたのだが時間の読みが甘く、待ち合わせのために最後まで観られなかったのだ。あんな冗長とした物語をまた最初から観る気にもなれず、かといってチケットをもう一度買って途中からのいうのもマヌケなので、小説を読むことにして、今日完結した。
小説は映画よりもむしろ簡潔というかほぼ芯で構成されており、奥様との生活も演劇のくだりも全くなく、高槻君 との出会いがメインのように描かれている。しかも肝心なのは最後に会った時の家福さんと彼の繋がりだったように自分には響いた。この感じが映画でどう表現されていたのかとても気になるし、だとすると、2時間かけて全く映画を観ていないに等しかったということになる。
みさきとの関係はどうだろうか?映画ではみょうに存在感のある演技が際立っていたが、小説では家福の本心を引き出す媒体のように思えた。
家福さんの心の内面の様子、気持ちの変化が本当によく表現されていて言葉ってすごいと思った。とても映画であれが表現できるとは思えないくらいに。
鹿の王 [感想]
鹿の王 子供達がとても楽しみにしていたので家族で観に行った。
子供達はそれなりに浅く楽しんだようであったが、もしかすると説明が足らないと思うヒトが多かったのではなかろうか?結構長い小説を2時間に集約したためヴァンの人となりが形成された過程や家族との関係の描出が少なく、観ている人はその裏側を想像するしかなかった。ユナとの関係もそうである。もしかするとこの話はアニメシリーズにした方がよかったのかもしれないと思った。
自分はというと、ヴァンは聖霊の守人のジグロ、ユナは不滅のあなたへのマーチホッサルはタンダあたりをあてがい、自分の都合のよい理想論を当てはめて結構楽しめた。ただストーリー自体それほど目新しいアイディアもなく、ジブリオマージュ作品をもう一つ作ったという風にしかとらえられなかった。
※そのあと串の方へ
聲の形 [感想]
小学校受験が一段落したのでみんなで映画を観ることにした。どういうわけだか子供達が選んだのがこれ。自分は観るの三回目でしかもほとんど覚えていなかった。しかも2回目は母親が亡くなった直後で映画の中のおばあちゃんが亡くなったシーンしか印象にのこっておらず、今回観てこんな小さなワンシーンだったことに驚いたほどだった。
そして今回いろんな場面を新鮮な気持ちで観ることができたが、子供達もわからないなりに最後まで飽きずにみていてくれたことはすこしうれしい。自分の理解できていないことの証拠としてタイトルがなぜついたのかがわからないということがあり、それぞれのエピソードが作り話的で理想的でありながらも観ているものの希望と裏切りの境界をうまくコントロールしているところが、ヒトを惹きつけるのかもしれない。そして、理想的ではありながらも、各人のキャラクターが現実的であるところが、不思議な現実感を創っているように思う。 また子供と一緒に観たいと思った。
おかえりモネ [感想]
人はそれぞれの考え方感じ方があり、それは各個人でもそれぞれ、そしてグループごとに色が違ったりする。時にそれが対立したりすることもあるが、たいていは交わらないままになっているのだろう。そんな現代の世にそんなことないよ、人はみな同じような価値観や感情を共有できるのだよ。とでも言っているようなドラマ。だけど自分にとってはファンタジーである。朝のドラマのわりにはシリアスな場面が多く、夜中に見ていた自分はよいとしても、どうだろうなんて思いながらでも清原さんの演技ひとつだけでも見る価値があり、周りの人も彼女の入り込みに影響されているかのようであった。
今週最終回で、毎日の楽しみがなくなる寂しさがあったが、今日10月28日の回ではじめてこのドラマの本質がわかった気がした。そう。これは震災で傷ついた人たちへの応援なのだ。その人たちが、大切な人を受け入れられないりゅうちん親子。受け入れたモネの家族達。そばいなかった後ろめたさ。そして最もタブーでありだれも口にだせなかったみーちゃんの罪。それらに対して、人はやさしいのだよ。だから生きていけるのだと、何度も語りかけてくる。震災10年がたって初めて、そしてさりげなく、公にした物語なのかなんて自分なりに解釈した。このドラマで救われた人がもしいたのならば、毎日の朝に国民的な感じで送り出した意味があるというものだろう。
本心続き [感想]
繊細な感情の表現と物語の納得できる意外性の展開に魅了されているのだが、不思議なことに、あるベタベタなさくや君の行動に最も心を動かされたのは自分としても意外だった。
それはルームメートで密かにおもいを寄せる彼女がお金持ちの一回り年下で彼の友人との成就を望むことであった。彼女はおそらくさくや君自身に惹かれ始めていることを彼も気づいているというのに。その信号を無視して愛などという無形の頼りないものではなく、実質を取らせることを望むという矛盾ともいえながらも、なんとも揺るぎない“愛?”自分は繊細で美しいものを求めることが自分を傷つけることを知り、そこから逃げ出した人間だったはず。それが今なおどこかで幻想を追い求めるような気持ちがあるのかと、意外ともいえる発見だった。
雨の日の送り迎え一般市民は濡れろと言ってる人が格差社会を語っている(笑)
本心(ネタばれてます) [感想]
今平野啓一郎の 本を読んでいる。まず印象にのこり、関心するのは描写の細かさである。特に表情の表現の比喩が絶妙なのである。話しの本題はおそらく、死についてなのではないかと思うのだが、それは現代のちょっと先の日本の現状。もしかすると問題になってくるような事象とからめてさりげなく物語りの根底を流れている感じだ。主人公のさくや君にも不思議と共感がもたら、自分だけが彼とともにあるかのような錯覚までおちいることができる。さくや君の自己肯定感の低い所や、繊細なところが一般の共感を呼びその彼が成功していくことを少し自分とかさねてみたりする効果を狙っているところはあるかもしれないが、いわゆるマザコンを惜しみもなくさらけ出しているとこrも、逆に爽快感を感じるとこも共感を呼ぶところなのかもしれない。そして、尊厳死ならぬ自由死もちろんこれはどんな未来にも法的にみとめられそうもないような架空のそれでいてさもありなんというテーマに挑んだというところか、そして現実とバーチャルのふしぎな関係を織り交ぜている。結末を求めないどこでやめてもいいような現実感のある小説であると自分は感じた。
漁場の肉子ちゃん [感想]
漁場の肉子ちゃん
前評判もたかかったし、子供も観ることができるという触れ込みで今日行ってきた。
ストーリーはとってもシンプル、雰囲気はポストジブリといったところか。肉子という、つきぬけていわゆる”よい人”あんなにふとった容姿で、人なつっこく、バカっぽいがゆえに、このような完璧な人格が許されるのだろうが、どちらの意味でも現実味がない。作者の「どうだ!」が聞こえて来そうな気もする。そして同じようにほぼ完璧なその子供。完璧じゃないよ、といういいわけがましいエピソードも交えるが、あまりにもありがちな話しがとってつけた感じ。泣かせる演出はたくさんあったし、ジブリ的に忘れられがちな古き良き時代を反映しているが、大人が素直に受け入れられないほどファンタジー化していると思った。
宇宙兄弟 [感想]
以前挫折していたのだが、待機のバイトがあったので再開してみた。ストーリー自体は典型的なサクセスストーリーで、以前観たときにはそれに下記たれられる思いがよいように思っていた。だからなのかムッタが宇宙飛行士になって活躍しはじめるころから少しずつテンションが下がっていった用だ。今回、まだそこまでたどりついていないが、作者の思惑なのかアニメーションを作った人が偉いのか、人物の緩徐の描写が非常に細かく、しかもリアルに描かれていて、惹かれる。この人ならこういうときこういう反応をするのだなとその都度引き込まれ、その人間くささに、共感、感動、そして関心させられる。ちなみにムッタの役は大泉洋さんが最適だと思う。しかし小町さんに綾戸智恵さんには恐れ入った。