日本の医療の典型的な様式 [医療]
1)専門医が検査をして否定すれば病気は否定されると皆が認識する2)専門医はそのカテゴリーの疾患は見逃してはならない.というルールが存在するが、自分はこれが日本の医療をダメにしていると考えている。
ずいぶん前の話になるが、胸痛で循環器に入院カテをして問題ないとのことで近医に返していた人がやはり胸痛で来院.看護師判断で総合内科を受診することになった.自分ならば自分が診たいと思うのだが,その医師はその日外来をしているが,知らぬが仏であった.
結局原因はPSVTであり循環器に戻ることになるのだが,二つの点でおかしい.つまり1)専門医が検査をして否定すれば病気は否定されると皆が認識する2)専門医はそのカテゴリーの疾患は見逃してはならない.
この2つのル-ルは,どちらも違うのではないかと自分は考えている.そしてこの2つのル-ルは相反しているようで実は呼応しあってるのである.
そしてそれを支えているのが医師どころか医療者から非医療者にまで広がる検査至上主義である.
専門医はそのカテゴリーの疾患を見逃すことは出来ない.けれども完璧な医療があるかといわれると、必ずなんらかの抜け道は存在する.
しかし,検査で白黒ならつけられるし,そこを切り抜けたものなら許されるキライがある.これを検査至上主義という.そうすると専門医はその症状から鑑別を考え,可能性と重症度,緊急性,治療可能の有無を考えるというめんどくさい過程よりも,ピストン的に検査を施行するようになっていく.それにより検査件数は増え,テクニックも向上し,病院への貢献も上昇する.これは極自然に導かれた専門医の行動ではないだろうか?もちろん全ての専門医がそうとは言っていないが,そういう様式が許容され、認められる世界がここ日本にはあることは事実であろう.
2021-07-27 22:04
nice!(0)
コメント(0)
コメント 0