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厚木勉強会3) [今日話したこと]

60歳女性発熱

コモンなものとしてはUTI、胆嚢炎、胆管炎、肺炎、上気道炎などがすぐに思いつく。もともともともと胆石があったりするとより胆嚢炎の確率が上がり比較的レアな胆管炎の確立も上がる。胆管炎に関してはすぐにショックになり得るので緊急を要する場合があるが胆嚢炎はそれほどでもない。発症時には胆嚢壁はそれほど肥厚していないこともある。ただし糖尿病がある場合は壊死性胆嚢炎を想起する必要がありその場合は緊急手術の適用となる。ALP γGTPの上昇は胆管炎のヒントになるが軽度のLFT上昇は胆嚢炎の助けにはならず、200以上だったりすると肝炎の可能性が出てくる。

尿路感染症は女性に非常に多くurosepsisと言われる位に敗血症にすぐにでもなり得る。特に閉塞基点がある場合は解除しない限り救うことができないと考える。肺炎はやはり呼吸器症状、咳嗽、喀痰の排泄などがある場合が多いが、バイタルの全てが正常であることのみが肺炎否定できる唯一の手段だと考えてよい。症状が全くない時に考えるべき細菌感染の代表が心内膜炎である。身体所見として心雑音やperiphral sign ,や病態としての脳梗塞などいろいろなプレゼンテーションがあるが、この際検査前確率は低くても血培はとっておくべきであると考える。こういう疾患のことをindex diagnosisといい、IE TB PE ADのこの4つを普段からできるだけ想起することにしている。5年目のドクターが私と一緒に働くことになった時彼は5年間の経験で1度も心内膜炎を見たことがなかったことに、わたしは驚かなかったなぜなら彼には血液培養をとる習慣がなかったからだ。彼は私と働き始めた3ヶ月で3人の心内膜炎を経験した。

つまり明らかなウィルス感染症の証拠や扁桃腺炎の所見など強い対抗馬がない限り、フォーカスがはっきりしない場合は血液培養は必須と言ってよい。また血液培養が生える確率が低いとしても胆嚢炎や胆管炎など細菌が経験的な予想しかできない場合は血液培養が、治療が行き詰まったときの助けになる可能性がある。いずれにしても細菌感染症を治療する場合、最も確実な直接的な指標としてグラム染色もしくは培養つまり細菌の種類を同定することが最も確実な手段と言える。経験的な抗菌薬の選択とにくらべ、耐性菌を減らし、治療失敗時の選択肢を増やし、医療者の安心感にもつながるのである。ちなみに喀痰採取時のグラム染色は細菌を同定出来ると同時にその培養結果の信頼度も知る手だてとなる。

 


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