診療(教育)日誌 [指導日記]
9月21日(木曜)
7:00【ロールプレイ】60代男性 胸痛 久岡先生が患者役本日は松下記念病院から循環器の先生が見学に来られているため、ロールプレイもしていただいた。
ビデオをみて、レビューする。患者さんに対するときの表情が非常によかったです。質問も適切で、不安感を与えないものでした。
〈カマキリいました。〉
7:45【モーニングコールカンファレンス】
研修医教育という名目で各専門分野の情報の垣根を低くしようというもくろみで3年前に始めました。研修医に対しプラスアルファの出席が少ないことが残念ですが、長く続けばローカルガイドラインやHospital Policyもここから作られることをイメージしています。いずれにしても各疾患の専門医の考えや方向を供給することは大切と考えています。
8:15~【病棟回診】
救急からの入院がなかったため、いつもの病棟回診を行いました。今日の採血も含めて、退院方向と決定。病棟は入院もひとりしかおらずしかも大変落ち着いています。
昨日S)の話しをしたので本日もそれを意識して患者に接しました。研修医は患者さんが失語があるので多くを語れないからs)が少ないと言っていたのですが、YesNoだけでかなりの情報を引き出せることを目の前で行い、認識していただいた。
8:45から【外来診療】
再診に加えて他科からの紹介が2人
ひとりは糖尿病のあるヒトが(糖尿科)1年前の事故の後(整形外科)から頭痛(神経内科)腹痛(消化器科)睾丸痛(泌尿科)にかかっている生活保護の60代男性の紹介でした。
全体の把握が非常に困難でしたが、30分以上かけてCRPSと判断しましたのでペインクリニックに全てをまとめるのが最もよいと考えました。
もうひとりは健診で特に異常がないと言われている滋賀県に出張で来られているひとの血管リスクを評価してほしいという院内紹介。
健診ではなにも引っかかっていなかったのですがABIが高値であり、地元に帰られるまでフォローすることにしました。
【教えたこと】最近はバンコマイシンも耐性になってきているブドウ球菌があるとのことですがという質問に対し。
以前はメチシリン耐性もなかったということでしょ?つまり、つねに人間と細菌のイタチごっこを続けているということ。目の前の患者さんを治すということならできるだけ広域の抗生剤を使うというのが当然の理屈だと思うが、10年後20年後の次の世代に何を残すかというところまで考えて診療をするのが感染症治療なのだよ。これはCO2削減やその他エコといわれているものとまったく同じことなのだよ。と伝えました。
14:00【EBM勉強会】
外来→食事後研修医に課しているEBMの資料(コホート研究の探し方読み方)を読んでいたのですが30分ほど意識がなかったようです。
15;00からコホート研究のディスカッションと考えていたのですが研修医の理解がまだまだだったのでもう一度読んできて頂き、明日もう一度ということになりました。
16:00【シナリオによるロールプレイ】
医学部で習ってきていない概念でしかもそれが利益相反を産むことを身につけてもらうのは非常に根気のいる仕事です。しかし利益が患者>医療者にできるだけできるかという努力が必要と考えて、いろいろな方法で彼らにそれを植え付けようと試みています。
このchoosingWiselyロールプレイはそんな中で生まれたいわゆる苦肉の策です。
研修医の主張を受け止めながら、もっとよい方法を提示することを議論を通じて伝える。
結構研修医はこれが気に入っているようで、この考え方を今後も身につけていくことを祈るばかりです。
16;30【外来カンファレンス予習】
総合内科外来は各内科の寄せ集めで行なっており、わたしの元で行われている外来ではありません。若いうちにできるだけいろいろな疾患に遭遇して、診断力をつけてもらい、また、ヘルスケアの方法を身につけてもらえたらと考えいてます。
そのため彼らが自己流にならないように、外来診療をチェックして、共有していこうという企画です。(実際にはあまり出席率はよくありません)
本日は
2次性高血圧の精査をどのようなヒトに行うべきか
LDLはリスクの応じてどこまで下げるべきか?
TGに関してはどうするか?
吐気の鑑別診断を考える。
などをみんなで共有し合いました。
診療日記9月20日 [指導日記]
先のヒアリングで数字としてあがってこないのであればその仕事内容を報告せよとの命を受け、これ幸いに自分のしていることを文字におこしています。わたしの一つの目標である「教育の大切さを認めてもらう」に少し寄与するのではないかという期待からなのだが、なかなかこれが、手間で、でも大変自分のために役に立ちます一つは時間が空いた時休もうとする自分を制することができる。2つ目は自分が何を言ったかを健忘録としてのこせる。3つ目は自分のやろうとしていることを再認識再評価できるということです。
三木 院長先生御侍史
外来入院を増やす方向で現在動いております。以前から考えていたのですが、いい機会となりました。
依頼いただいた日中の研修医に対する仕事を自分への振り返りの意味も含めてまとめてみました。
松下拝
2017/09/20
6:33【出勤】救急からの入院の予習(本日は内科入院1名)
それについてミニレクチャーできることがないかを探す。
6:50本日のロールプレイ患者役であるため予習をする
7:00 【ロールプレイによる外来診療の指導】
研修医(久岡先生)とビデオに撮りながらロールプレイ
腹痛胆石の患者
途中でとめて 問診のBaseになる質問をシステマティックにおこなうことで、時間が短縮され、また鑑別も狭められることを説明。
(昨日はOpen Questionの必要性を再三伝えたにもかかわらず出来ていなかったため、Open Questionをおこなう長所短所についてまとめてくるように言ったところ、どのような長所があったかという英語の文献をしらべてきていた。かなりバイアスのかかったstudyではあったが、ここまでするとさすがに今朝はOpenQuestionで開始するようになっていた)
朝のロールプレイはもちろんいかに医師中心の質問をたくさんして診断をつけるかということに充填が置かれるが、くせというものは最初につけないといけないので、むしろこちらのほうが大切と考える)
ロールプレイは切り上げて説教にはいる。
昨日勉強して、いかに検査前確率が大切かということを学んだはず(2時間以上かけて)だが本当ににはみにしみついておらず、実践ではどのように使われるのか?
実践で特異度100%の検査などほとんどない!検査を選んで答えを待つ!は間違いという話を(再三しているが)また話す。
そのあと、今日のケース 胆石症をどのようにエビデンスを使って診断するかを用意したスライドを使って説明。※資料1
7:30~8;00
【研修医同志の勉強会】今日はこの文章を書くため出席せずこの間に他科先生からの相談2つあり。一つはステロイドと生物学的製剤を使っているヒトのβDグルカンが高かったのだがどうすればよいか?という質問。ステロイドの量は少なかったのでラボエラーの可能性をしてきしつつ基本的には経過観察PCPへのコントロールとしてのChestXrもしくはCTは施行してもよいかもとお話した。
もう一つは、以前から依頼されている肺癌脳メタ疑いのヒトの相談、こちらは確認程度。
8:00~9:00【ERカンファレンス】ER入院した患者のプレゼンを研修医全員と指導医の前で行います。
検査の正しい適応や抗生剤の正しい使い方を教える、ことなど正しい診療とはいかなるものかをメインに伝えたくて、毎朝カンファレンスに1時間出席しています。努力をしています。残念ながらまだまだ正しく伝えられていないかもしれませんが、少なくとも保険で切られるからCTを制限しろだとか、ただ、広域の抗生剤をなるべく使わないという注意喚起では研修医を混乱させるばかりで、医療の質を落としかねません。
教育病院にとって研修医の教育はもっとも根幹となすべき重要な課題だと信じており、たとえ数字に挙がらず、認められなくても続けて行くつもりです。
今日は入院患者はひとりだけだったので、右室梗塞についてのミニ勉強会のようにした。
「胸部症状、徐脈とくれば」→右冠動脈を考える
MIを考える時は必ず動脈解離を否定をすることを思い出すため血圧左右差と胸部レントゲンを気にする癖をつける。
AMIの患者のもとを離れてはいけない。
右室梗塞を考える時には右側誘導の心電図もとる。
MIを疑ったとき聴診を忘れないように。
MIが不整脈を起こす原因は?
など、何度も繰り返していることの確認をおこなった。
8;30~9;00
【研修医カルテチェック】
今日指導したことはプロブレムリストの順番の入れ替えができていない。
入院患者のS)がpoor過ぎる。 入院患者のアセスメントは決まっているので経過をみるのがメインとなるが、そのためになにをパラメーターにしておくかを明確にすることが重要。S)も例外ではない。よってプロブレムリストから想起する習慣をつけてほしい。
9:00~9;30
通常の回診
患者さんが少ない時は、じっくりと診察できるカルテ業務に関しても、ほとんど研修医にさせてチェックするという二度手間を踏むこともでき、それにより研修医の自立性を高めたいと考えている、そのためできるだけチェックしていないそぶりをするように心がけている。
10;30-11:30
【グラム染色の勉強】資料を私後の実習をより効果的に行うために1時間くらいでグラム染色について個人勉強していただく、※資料2グラム染色
そのあいだ自分は研修医へ向けての勉強スライドを作成した
【細菌検査室実習】
グラム染色特に質のよい検体に対しての認識を高めるには検査技師の仕事を一緒にこなすのが一番と考えている。毎週水曜日には細菌検査室に赴き1時間程度ではあるがお手伝い(むしろ邪魔かもしれないが)をしてもらっている。
【食事】11:30 ~12:15
【ランチPBL】12;15~12:45
片山先生が行っている症例検討会本日は検査で抜られなかったため代理で進行
30才女性 主訴下痢 から鑑別を挙げてもらい、どのような施行過程で診断にこぎつけるか+関連した事柄をレクチャーする。実際はファシリテーションすることにのみ意味があると信じますが、ちょっとしたうんちくも彼らを引きつけるよう。別に自分を偉く見せる必要はないのだが、それで話を聞いてくれるのならその方がよいという理論もある。
【食後レクチャー】食後眠くなるまえに15分から30分レクチャーを行う。※資料5下痢プリント
本日はやはり下痢の話、先ほど話した内容をもう一度間違っていなかった資料で確認しながら話したが、案の定菌の名前をすでにわすれられていた。
【課題Uptodateより】肝癌の項目を読んでまとめてきてもらう。※資料4UpToDate
13:00~14:30
その間、症例からクリニカルクエスチョンを見つけ出して、解決するスライドを政策
15:00~ 中村先生と面談
16:00~ プレゼンテーションのロールプレイ。※資料5シナリオ
情報収集から検査にいたるまでの過程の思考が3年間言い続けても、なかなか伝われないため、ディベート法を取り入れてみた。
Dダイマーをルーチンではかりそれをよりどころに肺塞栓を否定するというプレゼンを研修医にさせて、その思考の間違いを正そうとする。研修医は絶対に折れないようして、反論するなかで説得する要素が増えていくというもの。今の研修医はこれを気に入ってくれていて、これが彼らの指向の変容になることを祈っている。