一瞬の最大 [つれづれ]
96才女性 CPA
CPAとはもうすで呼吸と心臓が止まっている状態の事を言います。
昔はDOAなどといったのですが、言葉が悪いのでCPAにかわりました。
英語圏では一般的な言葉のようです。
で、少し前の話ですが96才のおばあさんがCPAで運ばれてきました。僕たちはほとんど例外なく「もうダメだな。」と思います。
96才で無理に蘇生術を施しても、ほとんど無意味なのを、経験上も統計上も知っているからです。
この時も救急室で待ち受ける僕らは、すこしあきらめた、、そしてどこか少し余分な労働を強いられる感をもって迎えるのです。
僕たちは、初めて会ったときからあきらめなければならない人の人生の最も大きなイベントに関わることが多々あるのです。
以下は一緒に運ばれてきたカルテの抜粋です。わかっていながらも、あの一瞬からは想像もつかないその人に人生を垣間見ることができました。
出生時にお湯がかかったということで左目を失明。不憫に思った父親が大切に育てたという。小学校の時はクラスでただ一人くつを履かせてもらっていたという。
大妻高等学校を卒業後23才で結婚。女の子に恵まれたが、夫の体も弱く、お手伝いもいなくなったため、苦労したよう。昭和49年に夫が他界。その後は一人で暮らしていたが、平成20年に大腿頸部骨折をしてから一人暮らしが難しくなり、大和に住んでいる長女と暮らし始めた。次女は癌で3度手術をを受けており、同じ敷地内で暮らしている。三女は他界している。平成20年12月には長女も高齢でケアできなくなったため、施設に入所した。
認知症はあるが、性格は外向的で周囲ともコミュニケションをとっていた。
その日朝の見回りでは問題なかった。7時の見回りで返事がなく血圧も90と低かったため、看護師
をコ―ルこの時点では呼吸を間欠的にしてたが、その後停止したたえエアウェイを挿入してアンビュ―バックで換気しながら救急車を呼んだ。
いつも医師のブログを見て感じるのは、見る人が見れば特定できる様な情報を書いている事だ。家族の許可を得ているのだろうか?ある意味この人のヌード写真をこっそり見ている気分にさせられるのは自分だけだろうか。
by うーん (2010-02-26 21:17)
出来るだけ当事者にはわからないようにしています。話の芯だけを伝えたいのですが、臨場感は出したいので、あたかも本当にあった話のように組み替えているのです。読み手の人が不快な思いをされるということまでは頭が回りませんでした。えてして我々医療者はそういうことのデリカシ—が欠けているもので、本当は写真を出すのもダメなのかもしれません(話と全く別の方の写真なのですが)これからはフィクションです、、などと注釈をつけることにします。
by t_matsu (2010-02-27 18:00)
湘鎌と同じ系列で湘倉のお隣に研修予定の者です。先生がレジノートで執筆されたのを拝見しました。
自分の体験談として特定できないようにしても守秘義務に違反するのですか?自分もたまに「実習でこんな患者さんがいてこういうおもしろいことがあったよ」と書いてみたりすることあるのですが。。。
個人的にはみんなで共有できることはいいことだと思っています。
by ZERO (2010-02-28 17:03)